恋病、発熱。〜私に冷たい婚約者、誰かに恋愛指数100みたいです〜
 彼女と共に出席していたお茶会は大分前に終わってしまったはずだし、こんなところで会うなんて、本当に思ってもいなかった。

「ケーキが突然、倒れて来てしまったとか……心配してしまいましたわ。大丈夫でしたか? 私もとても気になっておりました。私とあのような話をした後でしょう? リディア様が泣いていないか、心配になりましたの」

 私はそこで、確信することが出来た。

 それは、女の勘と言えるものなのかもしれないし、彼女のしおらしい態度と言動に違和感を覚える人は多いかもしれない。

 あの大きなケーキを倒すように誰かに指示をしたのは、ナターシャ様で間違いないわ。

 ああして、公的に宣戦布告をされてケーキまで誰かに倒された私が悲しんで泣いていないか、自分の目で確認したかったというところかしら。

「ええ。この通り……大丈夫ですわ。ケーキが倒れて来てしまった時は本当に驚いてしまいましたけれど、突然の事故は良くあることです。ご心配頂けたようで、本当にありがとうございます」

 私は微笑んでナターシャ様にお礼を言うと、気に入らないと言わんばかりに彼女は眉を寄せた。

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