愛しい君へ
お昼休憩の時間になると、みんな食堂へ向かう中、わたしだけ自分のデスクから動かず、一人頭を抱えて残っていた。
すると、スーツのポケットに入っているスマホが震えた。
スマホを取り出して見ると、匡からのLINEが届いていた。
{ 大丈夫か?社長に何か言われた?)
わたしは匡に、藤崎社長に婚姻届を書かされ、正式に妻になってしまったことをLINEで報告した。
そのあと匡からは「帰ったら詳しく聞かせて!」と返信がきたのだった。
「はぁ、、、。」
溜め息をつくわたし。
もう溜め息しか出てこない。
食欲もなく、わたしはずっと自分のデスクで止まらない溜め息をつきながら、休憩時間を過ごしたのだった。
その日の帰り、会社を出ると、目の前に見覚えのある白い車が停まっていることに気付いた。
匡の車だ。
匡はわたしに気付くと、内側から助手席のドアを開けてくれた。
「お疲れ。」
助手席に乗り込むわたしに匡が言う。
わたしも「お疲れ様。」と返すと、心配そうな顔をする匡に向けて、無理に微笑んで見せた。