愛しい君へ

ご飯を食べ進めていくと、わたしはあることが気になり、匡に尋ねた。

「ねぇ、匡ってまだ彼女出来てないの?」

匡は白米を頬張り、飲み込んだあとで「いないよ。」と答えた。

「あの匡がずっと彼女いないなんて、信じられない。」
「なんだよ、"あの"って。」
「だって、中学の時も高校の時もモテモテだったじゃん!裏でファンクラブなんかもあったみたいだし。」

わたしがそう言うと、匡は興味が無さそうに「そんなこともあったな。」と言いながら、出汁巻き玉子を食べた。

「中学の時はサッカー部のキャプテンだったじゃない?試合ある時なんて、匡のファンだらけでさ。それが、今は女っ気無いし、、、彼女作らないの?」
「そう言うひよりだって、彼氏いないじゃん。」
「まぁ、そうだけど、、、。」

匡に言い返されて何も言えないわたしは、シーザーサラダに入っていた小柄なブロッコリーを口に入れた。

「俺はいいの。ひよりが良い男見つけて幸せになってくれれば。」
「良い男ねぇ、、、。今は仕事が楽しいからなぁ。」
「それならそれでいいんじゃん?そのうち、ひよりを幸せにしてくれる男が現れるって!そしたら、俺は安心出来るってもんだ!」

そう言いながら、匡は野菜肉巻きの最後の一口を食べると、手を合わせて「ご馳走さまでした!」と言った。

「お粗末様でした。」
「あ、洗い物俺やるから、置いといて!」
「え、いいよ。持って帰って洗うから。」
「作ってもらったんたんだから、洗い物くらいさせてくれよ。」
「じゃあ、お願いします。」

わたしがそうお願いすると、匡は笑顔で「了解!」と言い、自分の食べ終わった分のお弁当箱や箸などをシンクへと運んで行った。

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