愛しい君へ
そして、ポーンッという音と共に、エレベーターは22階で止まった。
開く扉にわたしは挙動不審になりながら、エレベーターを降りた。
22階に着いたはいいけど、何号室?
そう思ったが、22階フロアには、ドアが一つしかなかった。
ここで合ってるのかな?
そう思い、そのドアの横にあるインターホンを押してみる。
すると、ドアが開いた。
「自分の家なんだから、インターホンなんて鳴らなくていいんだよ?」
中から出てきたのは、ガウン姿の藤崎社長、、、玲司さんだった。
「おかえり、ひより。」
そう甘い声で言うと、玲司さんはドアを大きく開き、わたしを中へ促した。
「、、、ただいま。」
そう言うと、わたしは別世界へ来てしまった気持ちで家の中へ入った。
あまりにも広く、大理石のような玄関に長く続く廊下。
廊下には、いくつものドアが見えた。
わたしの腰に手を添え、わたしをリビングまで案内する玲司さん。
わたしはリビングの広さにも驚いたが、大きな窓の外に広がる夜景にも驚いた。
「凄い、、、。」
わたしがそう呟くと、玲司さんはわたしの耳元で「綺麗だろ?」と囁き、わたしを後ろから抱き締めた。
嫌がりたいが、わたしは玲司さんの妻だ。
わたしは抵抗したい気持ちをグッと我慢し、黙ったまま窓の外の夜景を眺めていた。