愛しい君へ

わたしが働く会社付近になると、わたしは「あ!あのお店!」と木材の看板に"sign"とお洒落な字体で書かれたお店を指差した。

匡は近くの有料駐車場に車を停め、そこから二人で並んでそのお店まで歩いて行く。

わたしはお店まで辿り着くと、ガラス越しからお店の中を覗いてみた。
ガラス越しからでもお洒落さが伝わってくるお店だ。

すると、匡がドアを開けてくれ、「ほら、ひより。ガラス越しじゃなくて中入って見なよ。」とわたしを呼んだ。

わたしはハッとして、匡が開けてくれたドアの中を覗いた。

そこには、お洒落や可愛い雑貨が勢揃いしており、つい「可愛い〜!」という言葉が溢れた。

店内に入り、見て回るわたしの後ろを匡がゆっくりとついて来る。

すると、わたしは一つの置き物に目が止まった。

「わぁ!これ可愛い!」

それは、ツガイのフクロウが寄り添っている置き物だった。
わたしは大のフクロウ好きなのだ。

「お前、本当フクロウ好きだよな。」
「だって、フクロウってね、一度ツガイになったら命が尽きるまでずっと同じパートナーと一緒にいるんだって。素敵だと思わない?」
「へぇ〜、よく知ってるな。」
「何かのテレビで言ってた。」

わたしがそう言って、ツガイのフクロウの置き物を眺めていると、匡が「買ってやろうか?」と言い出した。

わたしは「え?でも、これ木製で手彫りだからそこそこの値段するよ?」と言うと、匡はその置き物を手に取り、「いつものお礼だから。」とレジへ向かった。

そして「プレゼント用にしてください。」と頼んでいた。

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