愛しい君へ

匡はお会計を済ませると、プレゼント用にラッピングされた紙袋をわたしに差し出した。

わたしはそれを受け取ると、「わざわざラッピングしてもらわなくても良かったのに。」と言った。

「プレゼントなんだから、ラッピングするもんだろ?」
「ありがとう!早速帰ったら飾らなきゃ!どこに飾ろうかなぁ〜!」

自分の部屋の中を想像しながら、その日の帰りは、イタリアレストランで外食をして帰宅をした。

「匡、今日はありがとね!」
「どういたしまして!じゃあな。」
「じゃあね!」

匡とは、匡の部屋がある2階で別れ、わたしは自分の部屋がある3階に上がった。

302号室、匡の部屋の真上がわたしの部屋だ。

わたしは鍵を開け、中に入ると部屋の電気を点けた。
そして、バッグを肩から下ろすと、早速テーブルの上でプレゼント用にラッピングされたリボンを解き、ツガイのフクロウの置き物を取り出す。

「やっぱり可愛い!」

そう独り言を言うとわたしは、その置き物をテレビ台横に置いてある低いチェストの上に飾った。

わたしはしばらくの間、そのツガイのフクロウを目の前で眺めていたのだった。

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