愛しい君へ

そして、その日の午後も大忙しだった。
やらなくてはいけないことが多過ぎて、気付けば定時をとっくに過ぎ、20時になろうとしていた。

まだ残っている社員は居たが、今日中に終わらせるのは無理だと判断したわたしは、先に帰らせてもらうことにした。

今日は匡にご飯を作ってあげれそうもない。

わたしは匡にLINEで「今日残業で今帰り。ご飯作れそうもない!」と送り、そのあとに「ごめん!」のスタンプを送った。

すると、匡からは「了解!」と「お疲れ様!」のスタンプが返ってきた。

今日はコンビニ弁当でも買って帰ろう。
そう思い、コンビニに立ち寄ったものの、疲れ過ぎたせいかあまり食欲がなく、結局栄養ドリンクだけ買って帰宅した。

「はぁ、、、疲れたぁ。」

そう呟き、倒れ込むようにソファーに座った。

疲れたなぁ、と一息つこうとしようとするのもつかの間。
突然、家のドアが開いたのだ。

え!誰?!と驚き、ふと玄関の方を見ると、そこに居たのは何と藤崎社長だった。

藤崎社長は「お邪魔するよ。」と言い、部屋の中へ入って来ると、驚くわたしを甘い瞳で見下ろし「最終試験をしに来たよ。」と言った。

最終試験?

わたしが何が何だか良く分からずに居ると、急にわたしをお姫様抱っこし、寝室まで連れて行き、ベッドに押し倒してきた。

驚いたわたしは、慌ててベッドから下りて居間の方へ逃げた。

「な、なな、何するんですか!」
「だから、最終試験をしに来たって言ってるじゃないか。」
「最終試験って何ですか?!」

わたしがそう訊くと、藤崎社長はわたしの耳元でこう囁いた。

「身体の相性を確かめに来たんだよ。」

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