死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 挑戦的とも取れる私の態度にも余裕の表情を浮かべ、牢の鍵を外すと恭しく手を差し伸べた。


◇◆◇


 私たち二人は地下牢から出るとすぐに、二人寄り添って話し合っていたチャールズとミゼルの元へ向かった。

「なっ!! なんだ!! ナザイレ……その女は地下牢に入れたはずだ!」

「……嘘でしょう」

 チャールズはわかりやすいくらいに狼狽しているけれど、目を見開いていたミゼルは不思議と落ち着いた態度だった。

 可愛らしいピンク色の髪に水色の瞳、驚くほどに可憐な容姿。チャールズだって、こんなチャーミングな女の子に迫られれば悪い気はしなかったはず。

 けれど、そんな外見から似合わないくらいに、落ち着いていて、にっこり微笑み余裕の態度を崩さない。

 きっと、今ある優位が揺るがないと思っているのだろう。私だって、そう思っていた。

ーーーーナザイレが地下牢にまで、私を迎えに来てくれるまで。

「ええ。お二方、どうやら誤解があったようです」

 大仰に胸に手を当てたナザイレは、私の肩を抱いたままで彼らの元へと向かった。

< 10 / 18 >

この作品をシェア

pagetop