死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 何度か頭を横に振っていたチャールズを見て、ナザイレは微笑んだ。

「ああ。お助け出来て、良かったです。悪い魔女のような、そんな存在だったのでしょう」

「あっ……ああ。そうか……僕は操られていたのか。ヴィクトリア……すまない」

 チャールズが私に近寄ろうとしたので、ナザイレがその前へと立ちはだかった。

「殿下……僕の婚約者に近寄るのは、ご遠慮ください」

「なんだと? しかし、僕が婚約破棄を宣言して、まだ一日も経っていない」

 チャールズは戸惑っているようだ。けれど、操られていたとわかっても、私にとってみればミゼルと虐めるなと迫る彼は恐怖の対象だった。

「ですから、求婚しました。ヴィクトリアは、僕と結婚します。既にそう約束しておりますので」

「なんだと? 本当なのか。ヴィクトリア」

 私にはまだチャールズとミゼルの事を話せない呪いが発動しているようなので、必死で何度も頷いた。

 そんな私を見たチャールズは、とても悲しそうだった。

 胸が痛むけれど、そういう約束で助けてもらっているし、チャールズ本人から婚約破棄を宣言された事だって事実だった。

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