死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 ナザイレは処刑される寸前の私を助けてくれたし、魅力的な男性で嫌がる要素はなかった。

 きっとすぐに好きになって、幸せな結婚生活を過ごせるんだと確信してしまえるくらい。

「……ヴィクトリアと話せなくなって、ずっと寂しかったので、あの時に地下牢に行って良かった。あれを知らないままで、何も出来ずに終わるところだった」

「ナザイレ……」

 美しい金色の目は間近で、私は反射的に目を閉じた。

「愛しています。ヴィクトリア……もう二度と君を、誰にも渡しません」



◇◆◇



 じめじめとした地下牢の空気は、苦手だ。ここに来た目的が、あの彼女でないと一層。

「……嘘つき」

 恨みがましい目つき。ミゼルが僕に騙されたと思っているのだろうが、それは完全に誤解だ。

 僕たちはお互いに、欲しいものを手に入れる。

「全く嘘でない。これまで手が届かなかったはずの王族と良い思いが出来ただろう? 以前に望んでいた通りになった」

 僕は何も、地下牢に閉じ込めたミゼルに嘘は言っていない。

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