死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 やたらと人気のある王子や令息に近づく庶民出身の男爵令嬢は、きっとチャールズと親しくなりたいのだと思った。

 だから、そんな彼女の願望に協力しただけだ。

 僕はチャールズ殿下の婚約者ヴィクトリアと親しくなり、いつの間にか彼女の虜になっていた。

 素直で好奇心旺盛な性格、高位貴族であるのに偉ぶらない態度に、可愛らしい屈託のない笑顔。

 手に入れたかった。僕のものだけにしたかった。

 『婚約者に誤解されてしまうから、もう話せない』と、悲しそうにヴィクトリアに伝えられたときに、僕の心は壊れてしまったのかもしれない。

「ちゃんと……逃がしてくれるんでしょうね?」

「もちろん。僕を救ってくれたのは、ミゼルだったからね」

 何をどうしたとしても欲しいものが手に入らない渇望から、僕を救ってくれたのは、まぎれもなく彼女だった。

 海を越えた異国の伯爵位を持つ貴族の養女の身分も用意し、十分過ぎる額の報酬は整えておいた。

 それだけがあれば、このミゼルならば、きっとうまくやるだろう。

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