死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 男爵令嬢ミゼルはチャールズからの寵愛を良いことに、身分の高い公爵令嬢の私の立場が悪くなるように動いていた。

 贅沢をして我儘だから自分に対しても非情に接し、不当な圧力を掛けられたり嫌がらせをしてもおかしくないという印象を植えつけた。

 そんな状況にあるとは知らずに、私はのほほんと学園生活を暮らし、何の対抗策も取ることなく、処刑されて死んでしまうことになる。

「ヴィクトリア様……」

「……ナザイレ?」

 死を覚悟した私の前に現れたのは、騎士団長ナザイレ・アレイスターだった。長めの前髪がある黒髪に金目、鋭利と言える程に冴えざえとした鋭い眼差し。凛々しく整った容貌だけれど、華やかなチャールズとは違いどこか憂いを帯びた表情。

 私は彼とは一時期親しかった程度だけれど、ナザイレは実は乙女ゲームの攻略対象者なのだ。

 何度かナザイレと話しているところを目撃した婚約者チャールズより私に近寄るなと命じられ、それからは疎遠になり挨拶を交わすこともしなくなった。

 今思うと、自分はミゼルと親しくいたことは棚上げしておいて……いいえ。

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