死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 私はミゼルを殺そうとした罪で処刑されてしまうのだから……何もかももう、今更だわ。

「……ミゼルを殺そうとしたとか」

 淡々とした口調のナザイレの言葉に無反応で居ることは出来ずに、私は首を横に振った。

 ナザイレは不思議そうだった。私が何も言わない理由がわかったのかもしれない。

「……ヴィクトリア。もしかして、声が?」

 眉を顰めたナザイレはそう言い、私はここで彼を巻き込むべきか迷った。けれど、もうここまで来てしまえば同じことだった。

 静かに頷いた私を見て、ナザイレは顔を歪めた。

「何もかも、おかしいと思いました」

 一度その場から駆け去り、牢番から紙とペンを借りてきたナザイレは私にそれを渡した。

 以前に親しかった時と変わらない、曇りのない綺麗な金色の目だ。ここ一年ほど鏡の中にあった、私の諦めきった青い目とは違う。

――――彼がこれに気がついてくれるのが、もう少し、早かったなら。

「声が出せないんですね?」

 確認するかのようなナザイレに、私は小さくため息をして紙に書いた。

『ええ』

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