死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
 罪を逃れたくば申し開きをしてみろと嘲られた容疑者は、どんな言い訳をしたくとも声が出なかった。

 ミゼルの仕業だとわかっていた。けれど、私にはそれを訴える手段は奪われていた。

「何故……もしかして、喉を潰されたのですか?」

 ナザイレは無表情だったけれど、何故か私は彼の目の中に恐ろしいほどの暗闇が見えた気がした。

 何かしら……気のせいよね。ナザイレは、何の関係もないのに。

 私は首を横に振った。そうではない。私はあの二人に関すること以外は、私は声を出すことが出来る。

 だから、申し開きをしてみろと問われれば、何も言えなかっただけで。

『いいえ。私はチャールズとミゼルに関すること以外は、声を出すことが出来るのです。だから、これまでのナザイレの問いには、答えられなかったのです』

「……」

 紙に書かれた私の文字を、ナザイレは何も言わずにじっと見つめていた。

 なんと哀れな女だと、そう思ったのかもしれない。けれど、一人くらい私の本当のことを知ってくれていても良いのかもしれない。

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