死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
『私の住む寮の使用人たちは、気が付けば入れ替わっていました。学園の友人たちは、いつの頃か私を避け始めました。外部に手紙を出しても、返事は来ない……恐らく、これは何かの魔術めいたものが関係しているのだと思います』

 実はこのナザイレにだって、私は手紙を出した。『助けて』と。

 けれど、この様子を見ればナザイレは何も知らなかったようだ。卒業式での衝撃の断罪を知り、一時だけでも知り合いだったからと駆けつけてくれたのだろう。

「全て理解しました……あの二人のこと以外なら、声を出せるんですね。ヴィクトリア」

 私は戸惑いつつ、ナザイレの問いに頷いた。

 彼は無表情だった。薄暗い地下で黒い前髪は目にかかり、どこか影を感じさせた。

 一体、どうしたのかしら。ナザイレはもっと明るかった気がするけれど……。

「わかりました。それでは、僕と結婚しましょう。ヴィクトリア。そうすれば、君の無実の罪を晴らし、必ず幸せにすると誓います」

「……え?」

 私は彼が何を言ったのか、理解出来なかった。結婚? 結婚ですって? 私、処刑寸前の悪役令嬢なのよ。

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