死亡フラグ立ち済悪役令嬢ですけど、ここから助かる方法を教えて欲しい。
「それは……ナザイレと結婚したいと望む令嬢は、多いことと思います」

 ナザイレは人気があるし、誰もが認めて間違いないことだ。凛々しく整った容姿に武勇を誇り騎士団長を務め、身分の高い公爵家の跡取り。

 だからこそ、彼の申し出に頷くことには抵抗があった。

 私はもう、王族であるチャールズから婚約破棄されてしまった令嬢で、社交界の評判はもう当の昔に地に落ちていた。

「それは、わかりにくい肯定の返事と取っても?」

「いいえ。貴方に私は相応しくありません」

 私の言葉にナザイレは小さくため息をついた。

「一体、何を心配しているんです。ヴィクトリア。僕はアレイスター公爵家の跡取り。公爵令嬢の貴女とは、身分も釣り合います」

「私は、こんな自分が……ナザイレと釣り合うようには、決して思えません」

 だって、王族に婚約破棄されて、冤罪とはいえ処刑まで決まった女だもの。

 そう言った私に、ナザイレはやれやれと言わんばかりに肩を竦めた。

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