聖女のいない国に、祝福は訪れない
(なぜだかよく、わからないけれど……。今すぐ中庭へ、行かなければならない。そんな胸騒ぎがする……)
フリジアは何かへ突き動かされるかのように、ぼんやりと中庭に歩みを進める。
(嫌なことでなければいいけど……)
一抹の不安を覚えながらフリージアの花達が咲き乱れる場所へ足を踏み入れた彼女は、花弁の隙間からぴょこりんと生えている細長い物体を見つめ、目を丸くした。
「これは……」
思わず驚いて、口から声が出てしまったからだろうか。
風に吹かれて揺れていた何かが、勢いよくガサガサと音を立ててフリジアの元へとやってくる。
「きゅう!」
ぴょこりんと頭部に二本細長い耳が伸び、丸っこい尻尾を揺らしながら、ちょこちょこと走る黒うさぎ。
「わふ!」
待っていましたとばかりに嬉しそうな鳴き声を上げて三角耳の犬が、勢いよくフリジアの胸元へと飛びかかってきた。
「ルピィ!?」
頭上に乗っていたハミングバードがバサバサと両手を広げて飛び立った瞬間。
二匹の獣からタックルを受けた彼女は、勢いを殺しきれずに土の上へ押し倒されてしまう。
フリジアは何かへ突き動かされるかのように、ぼんやりと中庭に歩みを進める。
(嫌なことでなければいいけど……)
一抹の不安を覚えながらフリージアの花達が咲き乱れる場所へ足を踏み入れた彼女は、花弁の隙間からぴょこりんと生えている細長い物体を見つめ、目を丸くした。
「これは……」
思わず驚いて、口から声が出てしまったからだろうか。
風に吹かれて揺れていた何かが、勢いよくガサガサと音を立ててフリジアの元へとやってくる。
「きゅう!」
ぴょこりんと頭部に二本細長い耳が伸び、丸っこい尻尾を揺らしながら、ちょこちょこと走る黒うさぎ。
「わふ!」
待っていましたとばかりに嬉しそうな鳴き声を上げて三角耳の犬が、勢いよくフリジアの胸元へと飛びかかってきた。
「ルピィ!?」
頭上に乗っていたハミングバードがバサバサと両手を広げて飛び立った瞬間。
二匹の獣からタックルを受けた彼女は、勢いを殺しきれずに土の上へ押し倒されてしまう。