聖女のいない国に、祝福は訪れない
「きゅう~っ」
「わふーん!」

 動物達はフリジアと触れ合えたのが嬉しくて堪らないようで、頬を舐めたり身を寄せたりとやりたい放題だった。

(ハミングバードが騒動を起こした件は、動物達の間で共有がなされているのかもしれない……)

 今回は種族の代表者のみがフリジアへ会いに来たようで、この程度で済んでいる。

「私の元へ来てくださって、ありがとう、ございます……」

 先代聖女の追悼式まではあまり時間がないが、せっかく来てもらったのに何もしないわけにはいかず――彼女はセドリックが姿を見せるまで、うさぎと犬、鳥の三匹と交流を深めた。
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