聖女のいない国に、祝福は訪れない
「リエルル公爵令嬢」
黒のドレスを身に纏い、動物達と交流を深めるフリジアの姿を見つめたセドリックの表情は硬い。
彼の伝えたいことを悟った彼女は、うさぎを抱きかかえながら謝罪した。
「申し訳、ございません……」
「俺が見繕ったドレスは、気に入らなかったか」
「……いいえ。とても素敵なドレスでした……」
「ならば、なぜ身に纏っていない」
「先代聖女を弔うのに、あのような姿は……ふさわしくありません……」
「今日の主役は、君だ」
二人の間には不穏な空気が流れた。
先代聖女の存在を上書きしたくないと、目立つことを恐れたフリジア。
過去よりも未来を見て、新たな聖女の誕生を祝福したいセドリック――。
(これだけは、絶対に譲れない……)
二人は互いに目を合わせ、バチバチと無言で火花を散らす。
「きゅう?」
「ピィイ! ルピ!」
「わふーん!」
うさぎは不思議そうに鼻をピクピクと動かし、ハミングバードは動物達に事情を説明し、犬はセドリックへ勢いよく襲いかかる。
黒のドレスを身に纏い、動物達と交流を深めるフリジアの姿を見つめたセドリックの表情は硬い。
彼の伝えたいことを悟った彼女は、うさぎを抱きかかえながら謝罪した。
「申し訳、ございません……」
「俺が見繕ったドレスは、気に入らなかったか」
「……いいえ。とても素敵なドレスでした……」
「ならば、なぜ身に纏っていない」
「先代聖女を弔うのに、あのような姿は……ふさわしくありません……」
「今日の主役は、君だ」
二人の間には不穏な空気が流れた。
先代聖女の存在を上書きしたくないと、目立つことを恐れたフリジア。
過去よりも未来を見て、新たな聖女の誕生を祝福したいセドリック――。
(これだけは、絶対に譲れない……)
二人は互いに目を合わせ、バチバチと無言で火花を散らす。
「きゅう?」
「ピィイ! ルピ!」
「わふーん!」
うさぎは不思議そうに鼻をピクピクと動かし、ハミングバードは動物達に事情を説明し、犬はセドリックへ勢いよく襲いかかる。