聖女のいない国に、祝福は訪れない
(骨と皮じゃないか……)

 生きているのが不思議なほど衰弱しているフリジアは、隣国における彼女の扱いが最下層であったことを確信した。

(彼らは聖女を慈しむことなく、満足な食事も与えず。このような状態になるまで、放置していたのか……)

 目を閉じる彼女の姿を思い浮かべたセドリックは、今にも消えてしまいそうなほど生気がないことに気づき戦慄する。

(この地で二度も、聖女を早死させるなど……あってはならないことだ)

 彼は彼女を抱き抱え、急いで王城へ戻った。
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