聖女のいない国に、祝福は訪れない
「公爵夫婦を王城へ招き入れろ」
「よろしいのですか!? 敵国の公爵夫妻ですよ!?」
「構わん。神の化身がここへ彼らを連れて来たのなら、何か意味があるはずだ」
「しかし、危険です!」
「彼女に危害を加えるようであれば、俺とそこの狼が黙っていない。そうだな?」
「がう!」
フリジアが抱きしめていた羊はすでに姿を消しているようだが、狼は彼女を守るために残っていた。
「当たり前だ」と唸った獣に頷いたセドリックは、愛しき人を抱き上げると、入れ代わり立ち代わり動物達が出入りする姿をじっと見つめていた民達へ言い聞かせる。
「今ここで起きたことは、他言無用だ。フリジアがリエルル公爵家の娘であることは、帝国民全員で隠し通さなければならない」
「はっ」
「アーデンフォルカ帝国に、光あれ」
「すべては陛下の、お心のままに!」
民達が自身に忠誠を誓った様子を冷めた目で見つめた彼は、フリジアを抱き上げると狼を伴い、王城へと戻った。
「よろしいのですか!? 敵国の公爵夫妻ですよ!?」
「構わん。神の化身がここへ彼らを連れて来たのなら、何か意味があるはずだ」
「しかし、危険です!」
「彼女に危害を加えるようであれば、俺とそこの狼が黙っていない。そうだな?」
「がう!」
フリジアが抱きしめていた羊はすでに姿を消しているようだが、狼は彼女を守るために残っていた。
「当たり前だ」と唸った獣に頷いたセドリックは、愛しき人を抱き上げると、入れ代わり立ち代わり動物達が出入りする姿をじっと見つめていた民達へ言い聞かせる。
「今ここで起きたことは、他言無用だ。フリジアがリエルル公爵家の娘であることは、帝国民全員で隠し通さなければならない」
「はっ」
「アーデンフォルカ帝国に、光あれ」
「すべては陛下の、お心のままに!」
民達が自身に忠誠を誓った様子を冷めた目で見つめた彼は、フリジアを抱き上げると狼を伴い、王城へと戻った。