聖女のいない国に、祝福は訪れない
「お父様……。お母様……」
彼らはフリジアの呼び掛けを受け、嬉しそうに口元を緩めた。
「まぁ……。フリジア……。こんなに大きくなって……」
「八年ぶりだね……。元気にしていたかい……?」
彼女はずっと、昔のように家族みんなで暮らすのが夢だった。
フリジアが聖女として任命されることなく、双子の姉妹が喧嘩をしながら。
一緒に成長する。
(ニセラは嘘をつき、聖女を詐称した。もう、家族には戻れない……)
二度と叶わぬ夢だと思っていた。
八年前に両親と引き離されたフリジアとは異なり、ニセラはずっと親元に居たはずだ。
彼らは姉妹の意見が別れたのならば、決まって妹の言葉を優先するような人達だった。
だからフリジアは、両親を死んだものとして扱うようになったのだが――。
「私をまだ……娘だと、思ってくださるのですか……?」
「何言ってるの……?」
「当たり前じゃないか。離れて暮らしていても、フリジアとニセラは私達の娘だ」
両親の言葉を耳にしたフリジアは、大粒の涙を溢しながら再会を喜んだ。
彼らはフリジアの呼び掛けを受け、嬉しそうに口元を緩めた。
「まぁ……。フリジア……。こんなに大きくなって……」
「八年ぶりだね……。元気にしていたかい……?」
彼女はずっと、昔のように家族みんなで暮らすのが夢だった。
フリジアが聖女として任命されることなく、双子の姉妹が喧嘩をしながら。
一緒に成長する。
(ニセラは嘘をつき、聖女を詐称した。もう、家族には戻れない……)
二度と叶わぬ夢だと思っていた。
八年前に両親と引き離されたフリジアとは異なり、ニセラはずっと親元に居たはずだ。
彼らは姉妹の意見が別れたのならば、決まって妹の言葉を優先するような人達だった。
だからフリジアは、両親を死んだものとして扱うようになったのだが――。
「私をまだ……娘だと、思ってくださるのですか……?」
「何言ってるの……?」
「当たり前じゃないか。離れて暮らしていても、フリジアとニセラは私達の娘だ」
両親の言葉を耳にしたフリジアは、大粒の涙を溢しながら再会を喜んだ。