聖女のいない国に、祝福は訪れない
「聖女とはつねに、孤高であるべきなのに……取り乱してしまいました……」
「そう言う時もあるさ」
「……私は弱い人間です……」
「それを認められるだけで、君は充分に強い」
「十八歳の誕生日。おめでとう」
「ありがとう、ございます……」
――今頃ムガルデン王国では、偽聖女の誕生日会が盛大に行われているはずだ。
フリジアが泣き腫らした目でベッドの上でセドリックから誕生を祝われたと知ったら、妹はこう姉に告げるだろう。
『お姉様は薄汚れた夜着を身に着け、誕生日を祝われるのがお似合いですぅ!』
自分が悪く言われることは馴れた。
(言わせたい奴には、言わせておけばいい……)
フリジアは拳を握りしめ、たくさんの人々から祝福を受ける妹の姿をかき消すと――セドリックだけに優しく微笑む。
「この命が尽きるまで。私はアーデンフォルカ帝国を守護いたします……」
「ああ……」
何度目かわからぬその誓いを甘んじて受けると、彼はフリジアの額に口づけてから布団に潜る。
どうやら彼女が悪夢に魘されぬよう、添い寝をしてくれるらしい。
「そう言う時もあるさ」
「……私は弱い人間です……」
「それを認められるだけで、君は充分に強い」
「十八歳の誕生日。おめでとう」
「ありがとう、ございます……」
――今頃ムガルデン王国では、偽聖女の誕生日会が盛大に行われているはずだ。
フリジアが泣き腫らした目でベッドの上でセドリックから誕生を祝われたと知ったら、妹はこう姉に告げるだろう。
『お姉様は薄汚れた夜着を身に着け、誕生日を祝われるのがお似合いですぅ!』
自分が悪く言われることは馴れた。
(言わせたい奴には、言わせておけばいい……)
フリジアは拳を握りしめ、たくさんの人々から祝福を受ける妹の姿をかき消すと――セドリックだけに優しく微笑む。
「この命が尽きるまで。私はアーデンフォルカ帝国を守護いたします……」
「ああ……」
何度目かわからぬその誓いを甘んじて受けると、彼はフリジアの額に口づけてから布団に潜る。
どうやら彼女が悪夢に魘されぬよう、添い寝をしてくれるらしい。