聖女のいない国に、祝福は訪れない
意志の読み取れない姉を不気味に思い、天真爛漫な妹を選んだことに後悔したフェドクガが、ニセラをどのように痛めつけて屈服させるかと口元を緩ませ深く思考している時のことだ。
「主の許可なく侵入するとは! なんて無礼なんだ!」
「も、申し訳ございません! 何度もノックをしたのですが……」
彼の部下が異変を知らせに、無断で寝室へと入ってきた。
フェドクガは怒りでいっぱいな様子で顔を真っ青にする男を怒鳴りつけたが、この状態では欲しい情報も手に入らない。
彼は渋々、男の発言を許した。
「用件は?」
「ど、動物達が……。リエルル公爵夫妻と荷物を持って、アーデンフォルカ帝国へ向かって旅立ったと……」
「放っておけ」
「し、しかし……!」
「たかが動物一匹と公爵夫妻がアーデンフォルカ帝国へ向かった所で、なんになる。皇帝に斬り殺されるだけだ」
「いいえ! ムガルデン王国で暮らす動物が! 一匹残らず、アーデンフォルカ帝国へ向かったのです!」
「なんだと!?」
聖女の伝承に疎いフェドクガも、それくらいは聞いたことがある。
「主の許可なく侵入するとは! なんて無礼なんだ!」
「も、申し訳ございません! 何度もノックをしたのですが……」
彼の部下が異変を知らせに、無断で寝室へと入ってきた。
フェドクガは怒りでいっぱいな様子で顔を真っ青にする男を怒鳴りつけたが、この状態では欲しい情報も手に入らない。
彼は渋々、男の発言を許した。
「用件は?」
「ど、動物達が……。リエルル公爵夫妻と荷物を持って、アーデンフォルカ帝国へ向かって旅立ったと……」
「放っておけ」
「し、しかし……!」
「たかが動物一匹と公爵夫妻がアーデンフォルカ帝国へ向かった所で、なんになる。皇帝に斬り殺されるだけだ」
「いいえ! ムガルデン王国で暮らす動物が! 一匹残らず、アーデンフォルカ帝国へ向かったのです!」
「なんだと!?」
聖女の伝承に疎いフェドクガも、それくらいは聞いたことがある。