聖女のいない国に、祝福は訪れない
 それが本物であろうがなかろうが、いるといないでは大きな差が生まれる。
 自国に新たな聖女が生まれたなどと、他国を浮足立たせることなど、あってはならないからだ。

(動物達が一匹残らず移住した件に気づいた奴らは、全員始末すればいい……!)

 縄や手錠といった物騒なものを鍵の掛かる宝箱に仕舞ったフェドクガは、高笑いをしながらニセラの誕生日会の準備を始める。

(すべては、ムガルデン王国の栄光のために……!)

 自らの勝利を確信した皇太子は、颯爽とマントを翻してパーティーへと繰り出した。
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