聖女のいない国に、祝福は訪れない
「チュピィ!」
聞き覚えのあるウイングバードの鳴き声が聞こえたかと思えば、バサバサと羽根を羽ばたせてフリジアの頭上へ降り立つ。
その直後、バタバタと複数人の足音が後方から聞こえてきた。
「陛下……!」
「遅い」
「申し訳ございません……!」
「つまみ出せ」
「承知いたしました!」
セドリックは低い声で姿を見せた護衛騎士らしき人々に、ニセラを連れ出すように命じた。
「ちょっとぅ~! ニセラを誰だと思ってるんですか? 聖女ですよぅ?」
「陛下のご指示ですので……」
「ニセラはセドリックとお話したいのにぃ!」
「お帰りはあちらです」
「いーやぁー!」
ニセラは断末魔を上げて、騎士に連行されて行った。
「チュピィ?」
フリジアは妹の声が聞こえなくなっても、振り返る勇気がなかった。
「褒めてくれないの?」と頭上に乗るハミングバードが鳴き声を上げて、やっと鳥と視線を合わせられるようになったくらいだ。
(自分が考えている以上に、ニセラと顔を合わせることへ不快感を抱いている……)
このままでは、彼女と顔を合わせた瞬間。
パニックを起こして倒れてしまいそうだ。
聞き覚えのあるウイングバードの鳴き声が聞こえたかと思えば、バサバサと羽根を羽ばたせてフリジアの頭上へ降り立つ。
その直後、バタバタと複数人の足音が後方から聞こえてきた。
「陛下……!」
「遅い」
「申し訳ございません……!」
「つまみ出せ」
「承知いたしました!」
セドリックは低い声で姿を見せた護衛騎士らしき人々に、ニセラを連れ出すように命じた。
「ちょっとぅ~! ニセラを誰だと思ってるんですか? 聖女ですよぅ?」
「陛下のご指示ですので……」
「ニセラはセドリックとお話したいのにぃ!」
「お帰りはあちらです」
「いーやぁー!」
ニセラは断末魔を上げて、騎士に連行されて行った。
「チュピィ?」
フリジアは妹の声が聞こえなくなっても、振り返る勇気がなかった。
「褒めてくれないの?」と頭上に乗るハミングバードが鳴き声を上げて、やっと鳥と視線を合わせられるようになったくらいだ。
(自分が考えている以上に、ニセラと顔を合わせることへ不快感を抱いている……)
このままでは、彼女と顔を合わせた瞬間。
パニックを起こして倒れてしまいそうだ。