聖女のいない国に、祝福は訪れない
(克服しなければ……)
フリジアが青白い顔で両手を握りしめていれば、頭上でコツコツとハミングバードが嘴を動かす。
どうやら、「無視しないで」と怒っているらしい。
(もう、声を出してもいいのだろうか……)
フリジアが恐る恐る、キョロキョロとあたりを見渡せば――。
「リエルル公爵令嬢」
――セドリックから耳元で家名を囁かれたあと、後ろから勢いよく抱きしめられた。
「へ、陛下……」
「む、むきゅぅ……」
「お手を……首元に……。腹部では、うさぎが潰されてしまいます……」
セドリックからは、フリジアがうさぎを抱きかかえていることに気付けなかったようだ。
彼女が獣のことを思って進言すれば、彼は言われた通りに首筋へ両手を回した。
「……君はいつも、動物達に愛されているな……」
「おかげ様で……」
「ピィルルゥ!」
「あ……。ごめんなさい……。ありがとうございました……」
あとからフリジアに声を掛けたセドリックには話しかけたことが、ハミングバードは許せなかったのだろう。
もの凄い勢いで叩かれたことから、彼女は慌ててお礼を告げた。
フリジアが青白い顔で両手を握りしめていれば、頭上でコツコツとハミングバードが嘴を動かす。
どうやら、「無視しないで」と怒っているらしい。
(もう、声を出してもいいのだろうか……)
フリジアが恐る恐る、キョロキョロとあたりを見渡せば――。
「リエルル公爵令嬢」
――セドリックから耳元で家名を囁かれたあと、後ろから勢いよく抱きしめられた。
「へ、陛下……」
「む、むきゅぅ……」
「お手を……首元に……。腹部では、うさぎが潰されてしまいます……」
セドリックからは、フリジアがうさぎを抱きかかえていることに気付けなかったようだ。
彼女が獣のことを思って進言すれば、彼は言われた通りに首筋へ両手を回した。
「……君はいつも、動物達に愛されているな……」
「おかげ様で……」
「ピィルルゥ!」
「あ……。ごめんなさい……。ありがとうございました……」
あとからフリジアに声を掛けたセドリックには話しかけたことが、ハミングバードは許せなかったのだろう。
もの凄い勢いで叩かれたことから、彼女は慌ててお礼を告げた。