聖女のいない国に、祝福は訪れない
「わふ!」
「めぇ~」
――そこには珍しい動物達が、傷ついたフリジアを癒やすために待ち構えていた。
待ってましたとばかりに勢いよく胸元へ飛び込む犬と、のんびり屋でもふもふとした毛並みが印象的な羊だ。
「寝心地がよさそうな子達で、本当によかった……」
フリジアは今すぐ、何もかもを忘れたい気分だった。
一人で眠ると悪夢を思い出す彼女にとって、動物達が抱きまくらになってくれることは何よりもありがたい。
犬に押し倒されて床に転がったフリジアは、右に犬。
左に羊を抱き寄せ目を閉じる。
(私に好意を抱いていると言う言葉は、嘘だったの……?)
その言葉を直接、彼に問いかければそれで済む問題なのに――フリジアはそれを聞くことができぬまま、意識を失った。
*セドリック
(本当に、目障りな女だ)
セドリックは何度目かわからぬ舌打ちをしたい気持ちでいっぱいになりながら、何度追い返してもゾンビのように現れるニセラを睨みつけていた。
(俺の時間は、フリジアだけに使いたいのに……)
彼はてっきり偽聖女が両親の居場所を探りに来たと予想したのだが、どうやら彼女の目的は異なるらしい。
「めぇ~」
――そこには珍しい動物達が、傷ついたフリジアを癒やすために待ち構えていた。
待ってましたとばかりに勢いよく胸元へ飛び込む犬と、のんびり屋でもふもふとした毛並みが印象的な羊だ。
「寝心地がよさそうな子達で、本当によかった……」
フリジアは今すぐ、何もかもを忘れたい気分だった。
一人で眠ると悪夢を思い出す彼女にとって、動物達が抱きまくらになってくれることは何よりもありがたい。
犬に押し倒されて床に転がったフリジアは、右に犬。
左に羊を抱き寄せ目を閉じる。
(私に好意を抱いていると言う言葉は、嘘だったの……?)
その言葉を直接、彼に問いかければそれで済む問題なのに――フリジアはそれを聞くことができぬまま、意識を失った。
*セドリック
(本当に、目障りな女だ)
セドリックは何度目かわからぬ舌打ちをしたい気持ちでいっぱいになりながら、何度追い返してもゾンビのように現れるニセラを睨みつけていた。
(俺の時間は、フリジアだけに使いたいのに……)
彼はてっきり偽聖女が両親の居場所を探りに来たと予想したのだが、どうやら彼女の目的は異なるらしい。