聖女のいない国に、祝福は訪れない
「ニセラの懐妊記念パーティーに招待された」
セドリックはフリジアの帰りを待っていたようだ。
寝室で顔を合わせて早々、厶ガルデン王国から送付された手紙をひらひらと揺らした彼から報告を受けた彼女は、セドリックの言葉を待つ。
「俺はムガルデン王国を滅ぼす機会を、つねに窺っていた。真正面から攻め入れる、貴重な機会だ。この機を逃すつもりなどない」
「……腰元の剣で、民達を屠るのですか」
「まさか。余計な血を流す必要はない。俺が無差別に無抵抗の民へ切っ先を向けるような男に見えるのか」
言われて見ればそうだ。
フリジアの前でだけは、悪逆皇帝と呼ばれているのが嘘のように優しい。
彼女が首を振って否定すれば、肩を竦めたセドリックが告げる。
「話し合いで解決できるなら、それに越したことはないだろう」
フェドクガが友好的な人物であれば可能性はあったが、残念ながらあの男は短期ですぐに手が出るタイプだ。
冷静に話し合いなど、できるわけがない。
セドリックはフリジアの帰りを待っていたようだ。
寝室で顔を合わせて早々、厶ガルデン王国から送付された手紙をひらひらと揺らした彼から報告を受けた彼女は、セドリックの言葉を待つ。
「俺はムガルデン王国を滅ぼす機会を、つねに窺っていた。真正面から攻め入れる、貴重な機会だ。この機を逃すつもりなどない」
「……腰元の剣で、民達を屠るのですか」
「まさか。余計な血を流す必要はない。俺が無差別に無抵抗の民へ切っ先を向けるような男に見えるのか」
言われて見ればそうだ。
フリジアの前でだけは、悪逆皇帝と呼ばれているのが嘘のように優しい。
彼女が首を振って否定すれば、肩を竦めたセドリックが告げる。
「話し合いで解決できるなら、それに越したことはないだろう」
フェドクガが友好的な人物であれば可能性はあったが、残念ながらあの男は短期ですぐに手が出るタイプだ。
冷静に話し合いなど、できるわけがない。