聖女のいない国に、祝福は訪れない
「皇太子に聖女として選ばれてから七年……。私は手足の自由と視界を奪われ、癒やしの力を使う時間以外は地下牢で暮らしていました……」
「な……っ!」
わなわなと唇を震わせ顔を真っ赤にするフェドクガは恐怖と怒りが混ざり合い、うまく言葉が出てこないようだ。
フリジアは皇太子が口を挟む前にと、彼が怯えている理由を貴族達へ聞こえるように言葉を紡ぐ。
「聖女ニセラこそが真の聖女だと語る皇太子に邪魔者扱いされた私は、崖から突き落とされ、命を落としたのです……」
「う、嘘だ! 死人がこうして、人間の言葉を話すわけがない!」
「あなたに対する恨みでいっぱいの私を見かね、神様がチャンスをくださったのです……。聖女を騙る悪しきものと、神の愛し子を死に追いやった皇太子へ復讐するために……」
セドリックにエスコートされたニセラが不穏なことばかりを口にするからだろう。
その話を耳にしていた貴族達は、困惑の色を隠しきれないようだ。
「な……っ!」
わなわなと唇を震わせ顔を真っ赤にするフェドクガは恐怖と怒りが混ざり合い、うまく言葉が出てこないようだ。
フリジアは皇太子が口を挟む前にと、彼が怯えている理由を貴族達へ聞こえるように言葉を紡ぐ。
「聖女ニセラこそが真の聖女だと語る皇太子に邪魔者扱いされた私は、崖から突き落とされ、命を落としたのです……」
「う、嘘だ! 死人がこうして、人間の言葉を話すわけがない!」
「あなたに対する恨みでいっぱいの私を見かね、神様がチャンスをくださったのです……。聖女を騙る悪しきものと、神の愛し子を死に追いやった皇太子へ復讐するために……」
セドリックにエスコートされたニセラが不穏なことばかりを口にするからだろう。
その話を耳にしていた貴族達は、困惑の色を隠しきれないようだ。