聖女のいない国に、祝福は訪れない
「地下牢……?」
「自由を奪うなんて……」
「聖女? 一体どう言うことだ?」
「厶ガルデンがある日突然長雨に見舞われるようになったのは、皇太子のせい……?」
「ち、違う! これはすべてこの女の嘘だ! 私を貶めようとしてる!」

 貴族達から疑われたフェドクガは、顔を真っ青にしながら声を荒らげた。
 この状態でもまだ、言い逃れができると信じているらしい。

「皆さんが見ている前で、罪を認めれば……私はお二人を許しましょう……」
「な、何言ってるんですかぁ! フェドクガはともかく、ニセラはなんの罪もありませーん!」
「……本当に?」

 フリジアは妹に問いかけた。

 口元は微笑んでいるが、目が笑っていない。
 そんな姉の姿を見たニセラは、双子の姉妹だからこそ通じるものがあったのだろう。

 本気で彼女を怒らせたことに気づき、どうにか言い訳を並べてこの危機的状況から脱しようと行動する。

「う……っ。ニセラとフリジアは、双子の姉妹ですよぅ? 喜びも悲しみも、分かち合うべきで――」
「先に私を裏切り、見殺しにしたのはあなたです」

 だが、フリジアだって黙って見過ごせるほど温厚な性格をしていなかった。
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