聖女のいない国に、祝福は訪れない
(ニセラには何度も、改心のチャンスがあったのに……)
姉を思いやるよりも自身が輝くことを優先した女だ。
今さら優しい言葉をかけてやる理由などないと、フリジアは事実を明らかにするべく畳みかける。
「自身を聖女であると偽るだけでは飽き足らず、赤子ができたなど嘘をつくなんて……。姉として、情けない限りです……」
「い、言いがかりですぅ! ニセラこそが真の聖女で、フェドクガの子を妊娠しているんですから! 幽霊は黙って、さっさと成仏してくださーい!」
「そうですか。では、ここにいる皆様に判定頂きましょう。私とニセラ。どちらが本物の聖女なのか……」
「へ……?」
ニセラは姉の口から思いがけない言葉が飛び出てきたことに驚き、素っ頓狂な声をあげた。
(こう言う話になることを想定せず、対策をしていない時点で決着はついている……)
フリジアが真の聖女だと貴族達へ証明するのは簡単だ。
妹は癒やしの力を使えないだから。
だがフリジアは、フェドクガとニセラが二度と立ち上がれなくなるまで心を折りたかった。
そのために協力を依頼した彼らを呼び寄せようとすれば――。
姉を思いやるよりも自身が輝くことを優先した女だ。
今さら優しい言葉をかけてやる理由などないと、フリジアは事実を明らかにするべく畳みかける。
「自身を聖女であると偽るだけでは飽き足らず、赤子ができたなど嘘をつくなんて……。姉として、情けない限りです……」
「い、言いがかりですぅ! ニセラこそが真の聖女で、フェドクガの子を妊娠しているんですから! 幽霊は黙って、さっさと成仏してくださーい!」
「そうですか。では、ここにいる皆様に判定頂きましょう。私とニセラ。どちらが本物の聖女なのか……」
「へ……?」
ニセラは姉の口から思いがけない言葉が飛び出てきたことに驚き、素っ頓狂な声をあげた。
(こう言う話になることを想定せず、対策をしていない時点で決着はついている……)
フリジアが真の聖女だと貴族達へ証明するのは簡単だ。
妹は癒やしの力を使えないだから。
だがフリジアは、フェドクガとニセラが二度と立ち上がれなくなるまで心を折りたかった。
そのために協力を依頼した彼らを呼び寄せようとすれば――。