聖女のいない国に、祝福は訪れない
「許して! フリジア……! なんでもする! なんでもしますからぁ!」
そんな中、これ以上嘘をついても無意味だと観念したのだろう。
ニセラがその場に泣き崩れた瞬間、パンッと耳障りな破裂音が響く。
「きゃあ!」
「なんだ?」
「ねぇ、見て。聖女ニセラの腹部が……」
――天は双子の姉妹のうち、姉へ味方をした。
ニセラは妊娠を装うため、ドレスの下に風船を入れて誤魔化していたらしい。
妹の腹部はみるみるうちにぺったんことなり、床には破裂した風船の残骸が散らばる。
――嘘が明らかになった瞬間であった。
「では、やはり……。あの方こそが、真の聖女なのね……!」
「聖女様! どうかお許しください! 我々は騙されていたのです!」
「偽聖女! よくも私達を……!」
先程まではどちらが真の聖女かわからず戸惑っていた貴族達の悪意が、一斉にニセラへ向けられる。
(まずは、一人……)
気品ある行動を心掛けている彼らはすぐに力で訴えかけることはしないが、耳障りな言葉をぶつけられている妹が見るも無惨な姿になるのは時間の問題だろう。
そんな中、これ以上嘘をついても無意味だと観念したのだろう。
ニセラがその場に泣き崩れた瞬間、パンッと耳障りな破裂音が響く。
「きゃあ!」
「なんだ?」
「ねぇ、見て。聖女ニセラの腹部が……」
――天は双子の姉妹のうち、姉へ味方をした。
ニセラは妊娠を装うため、ドレスの下に風船を入れて誤魔化していたらしい。
妹の腹部はみるみるうちにぺったんことなり、床には破裂した風船の残骸が散らばる。
――嘘が明らかになった瞬間であった。
「では、やはり……。あの方こそが、真の聖女なのね……!」
「聖女様! どうかお許しください! 我々は騙されていたのです!」
「偽聖女! よくも私達を……!」
先程まではどちらが真の聖女かわからず戸惑っていた貴族達の悪意が、一斉にニセラへ向けられる。
(まずは、一人……)
気品ある行動を心掛けている彼らはすぐに力で訴えかけることはしないが、耳障りな言葉をぶつけられている妹が見るも無惨な姿になるのは時間の問題だろう。