聖女のいない国に、祝福は訪れない
「私はアーデンフォルカ帝国の聖女、フリジア・リエルル……」
「う、嘘だ……! あり得ない! 厶ガルデン王国を、捨てると言うのか!」
「か、考え直してよぅ! フリジア……!」
フリジアの願いは全て叶えたのに、これ以上何が不安なのかと騒ぎ立てる二人を冷たい瞳で見下した彼女は、復讐の炎を瞳に揺らめかせながら告げる。
「聖女のいない国に、祝福は訪れない」
その言葉が、微かに残っていた聖女の加護を消失させた。
枯れ果てていた草木は跡形もなく消え去り、大地には嵐が吹き荒ぶ。
「うわああ!」
「聖女様! どうか! お許しください……!」
真の聖女からの最終通告を受けた貴族達は、我先にと会場をあとにしようと試みる。
だが、獣達がそれを許すはずもなく――。
「ガルルル……ッ。がう!」
出口を塞ぎ、聖女に赦しを乞わぬ者へ牙を剥く。
「フリジアは我が国の宝。幸福を司る穢れなき聖女だ」
「私を聖女と認めてくださったアーデンフォルカ帝国の民と、セドリック陛下に感謝いたします……」
フリジアは身も心もすべてがアーデンフォルカのものであり、厶ガルデンに捧げるものなど一つもないと恭しく頭を垂れる。
「う、嘘だ……! あり得ない! 厶ガルデン王国を、捨てると言うのか!」
「か、考え直してよぅ! フリジア……!」
フリジアの願いは全て叶えたのに、これ以上何が不安なのかと騒ぎ立てる二人を冷たい瞳で見下した彼女は、復讐の炎を瞳に揺らめかせながら告げる。
「聖女のいない国に、祝福は訪れない」
その言葉が、微かに残っていた聖女の加護を消失させた。
枯れ果てていた草木は跡形もなく消え去り、大地には嵐が吹き荒ぶ。
「うわああ!」
「聖女様! どうか! お許しください……!」
真の聖女からの最終通告を受けた貴族達は、我先にと会場をあとにしようと試みる。
だが、獣達がそれを許すはずもなく――。
「ガルルル……ッ。がう!」
出口を塞ぎ、聖女に赦しを乞わぬ者へ牙を剥く。
「フリジアは我が国の宝。幸福を司る穢れなき聖女だ」
「私を聖女と認めてくださったアーデンフォルカ帝国の民と、セドリック陛下に感謝いたします……」
フリジアは身も心もすべてがアーデンフォルカのものであり、厶ガルデンに捧げるものなど一つもないと恭しく頭を垂れる。