聖女のいない国に、祝福は訪れない
アーデンフォルカに祝福を
 ニセラとフェドクガは獣達に痛めつけられたあと、四肢を拘束された上で視界を奪われ、地下牢で幽閉されることになった。

 事態を重く見た厶ガルデン王国の国王は聖女に対する非礼を詫び――全面降伏を宣言。

 厶ガルデン王国は滅び、その地はアーデンフォルカの治める領地となった。

「どうする」
「領地が広がるのはいいことです。しかし、私はあの地に……祝福を与えたくはありません……」
「……そうだな……」

 フリジアの復讐相手は二人だけではない。
 癒やしの力を使って私腹を肥やしていた民にも向けられている。
 一部の人間達は罰を受けたが……。

 命からがら他国へ逃げ延びた者達が住み慣れた厶ガルデンの地が豊かになったからと言って戻ってこられても困るのだ。

「しばらくはあのままにしておこう」
「よろしいのですか……」
「君の嫌がることを強要するのは、あの男と一緒だからな……」
「陛下……」
「どうしてもあの地を豊かにしたい者がいれば、己の力でどうにかするだろう」

 セドリックは待っている。
 荒れ地に花を咲かせるために、自ら行動する厶ガルデンの民が現れるのを。
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