聖女のいない国に、祝福は訪れない
「本当に、そうでしょうか……」
セドリックの言葉が事実であれば、なぜフリジアはあれほど酷い目に合わされたのだろうか。
彼の言葉を信じられなかった彼女は、か細い声で問い掛けた。
「聖女とは一体、なんなのでしょう……」
「それは聖女である君が、一番よく理解しているはずだが」
フリジアは悲しそうに眉を伏せると、左右に首を振る。
彼女はある日突然聖女と呼ばれるようになったから癒やしの力を使うようになっただけで、それがどのような役目を果たすべきかよく知らなかったからだ。
「国民達の幸福をどれほど願っても。私が幸せになることは、許されませんでした……」
フリジアは語る。
自身が厶ガルデン王国で、どのような扱いを受けたのか。
「搾取されるだけの人生など、もう……うんざりなのです……」
信じてもらえなくてもよかった。
嘘をついていると思うのであれば、彼にはフリジアの命を奪う権利があるからだ。
「あなたが噂の悪逆皇帝だと言うのなら……」
アーデンフォルカ帝国でも今までと同じように苦痛を与えられ続け飼い殺しにされるくらいであれば、その命を手放したいと思うほどに――。
セドリックの言葉が事実であれば、なぜフリジアはあれほど酷い目に合わされたのだろうか。
彼の言葉を信じられなかった彼女は、か細い声で問い掛けた。
「聖女とは一体、なんなのでしょう……」
「それは聖女である君が、一番よく理解しているはずだが」
フリジアは悲しそうに眉を伏せると、左右に首を振る。
彼女はある日突然聖女と呼ばれるようになったから癒やしの力を使うようになっただけで、それがどのような役目を果たすべきかよく知らなかったからだ。
「国民達の幸福をどれほど願っても。私が幸せになることは、許されませんでした……」
フリジアは語る。
自身が厶ガルデン王国で、どのような扱いを受けたのか。
「搾取されるだけの人生など、もう……うんざりなのです……」
信じてもらえなくてもよかった。
嘘をついていると思うのであれば、彼にはフリジアの命を奪う権利があるからだ。
「あなたが噂の悪逆皇帝だと言うのなら……」
アーデンフォルカ帝国でも今までと同じように苦痛を与えられ続け飼い殺しにされるくらいであれば、その命を手放したいと思うほどに――。