聖女のいない国に、祝福は訪れない
「本当に私は、生きていてもいいのでしょうか……」
セドリックの治めるアーデンフォルカ定位国は、フリジアの母国であるムガルデン王国の次に、この世界で広大な領土と民が住まう国だった。
「俺は君に、生きていてほしい」
聖女不在の国がこれほど発展したのは、セドリックが皇帝に即位してから率先して隣国へ攻め入り、戦争を仕掛け勝利を納めたからだ。
「それは私が、聖女だからですか……」
次々に領地を拡大しているアーデンフォルカ帝国に、聖女が永住したとなれば――みるみるうちにこの地はますます勢いづき、あっと言う間に母国よりも名を馳せる帝国へと成長していくに違いない。
「いや。聖女でなかったとしても。俺は君の生存を望むだろう」
彼がフリジアを求める理由が聖女だからではないと知った彼女は、その言葉を素直に受け入れられず困惑する。
「なぜでしょうか……」
「どうしてだと思う?」
思わず彼に問いかければ、質問を質問で返されたフリジアは狼狽えた。
セドリックの治めるアーデンフォルカ定位国は、フリジアの母国であるムガルデン王国の次に、この世界で広大な領土と民が住まう国だった。
「俺は君に、生きていてほしい」
聖女不在の国がこれほど発展したのは、セドリックが皇帝に即位してから率先して隣国へ攻め入り、戦争を仕掛け勝利を納めたからだ。
「それは私が、聖女だからですか……」
次々に領地を拡大しているアーデンフォルカ帝国に、聖女が永住したとなれば――みるみるうちにこの地はますます勢いづき、あっと言う間に母国よりも名を馳せる帝国へと成長していくに違いない。
「いや。聖女でなかったとしても。俺は君の生存を望むだろう」
彼がフリジアを求める理由が聖女だからではないと知った彼女は、その言葉を素直に受け入れられず困惑する。
「なぜでしょうか……」
「どうしてだと思う?」
思わず彼に問いかければ、質問を質問で返されたフリジアは狼狽えた。