聖女のいない国に、祝福は訪れない
――翌朝。
フリジアが目覚めると、セドリックが右手を握りしめたまま彼女の寝顔をベッドに横たわってじっと見つめていることに気づく。
彼女は思わず、悲鳴を上げかけた。
「起きたか」
大きく息を吸い込んで絶句するフリジアの姿を目にしても、彼は涼しい顔で彼女へ話しかける。
「体調は」
「問題、ありません……」
目元を擦りながら返事をしたフリジアは繋いだ指先から伝わる熱を感じ、慌てて頭を下げた。
「申し訳ございません。手を……」
「ああ。俺は気にしていない」
「ずっと、握っていてくださったのですか……」
「君に頼まれたからな」
皇帝と手を繋いで寝るなど、いくら聖女であっても許されることではない。
フリジアは申し訳無さそうに謝罪を繰り返すが、彼は本当に気にしていないようだ。
彼女の指先が離れないように強い力で絡め取れば、フリジアの表情が明らかに沈む。
フリジアが目覚めると、セドリックが右手を握りしめたまま彼女の寝顔をベッドに横たわってじっと見つめていることに気づく。
彼女は思わず、悲鳴を上げかけた。
「起きたか」
大きく息を吸い込んで絶句するフリジアの姿を目にしても、彼は涼しい顔で彼女へ話しかける。
「体調は」
「問題、ありません……」
目元を擦りながら返事をしたフリジアは繋いだ指先から伝わる熱を感じ、慌てて頭を下げた。
「申し訳ございません。手を……」
「ああ。俺は気にしていない」
「ずっと、握っていてくださったのですか……」
「君に頼まれたからな」
皇帝と手を繋いで寝るなど、いくら聖女であっても許されることではない。
フリジアは申し訳無さそうに謝罪を繰り返すが、彼は本当に気にしていないようだ。
彼女の指先が離れないように強い力で絡め取れば、フリジアの表情が明らかに沈む。