聖女のいない国に、祝福は訪れない
「陛下!」
「いや。いい。手を出すな」
「しかし……」
「セイントバードは、聖女が根ざす土地に生息する鳥だ」
「それって……」
「母上の加護が消えた瞬間、新たな聖女の祝福を授かる前触れと思うべきだろうな」
右に戸惑う護衛騎士に状況を説明しながら難しい顔をしたセドリック、左にぽかんと口を開けているフリジア。
全身に鳥の大群を纏わせた二人は、互いに見つめ合う。
「先代の聖女の加護が消滅するのは、二日後です。効果が重複するなどあり得ないのでは……?」
「そうだ。どんなに早くとも、セイントバードの巣替えは二日後であるべきだ」
「ならば、なぜ……」
「彼らが一刻も早く巣立ちたいと願うほどにムガルデン王国が腐っているか」
「ピュイ?」
「リエルル公爵令嬢が愛されているか……」
「ピィイ! ピルル! ピーイ!」
フリジアの両手に乗っていたセイントバードは、セドリックの言葉に強く反応して嬉しそうな鳴き声を上げる。
どうやら彼らはフリジアのことを愛するあまり、予定よりも早くアーデンフォルカ帝国まで飛んできてしまったようだ。
「いや。いい。手を出すな」
「しかし……」
「セイントバードは、聖女が根ざす土地に生息する鳥だ」
「それって……」
「母上の加護が消えた瞬間、新たな聖女の祝福を授かる前触れと思うべきだろうな」
右に戸惑う護衛騎士に状況を説明しながら難しい顔をしたセドリック、左にぽかんと口を開けているフリジア。
全身に鳥の大群を纏わせた二人は、互いに見つめ合う。
「先代の聖女の加護が消滅するのは、二日後です。効果が重複するなどあり得ないのでは……?」
「そうだ。どんなに早くとも、セイントバードの巣替えは二日後であるべきだ」
「ならば、なぜ……」
「彼らが一刻も早く巣立ちたいと願うほどにムガルデン王国が腐っているか」
「ピュイ?」
「リエルル公爵令嬢が愛されているか……」
「ピィイ! ピルル! ピーイ!」
フリジアの両手に乗っていたセイントバードは、セドリックの言葉に強く反応して嬉しそうな鳴き声を上げる。
どうやら彼らはフリジアのことを愛するあまり、予定よりも早くアーデンフォルカ帝国まで飛んできてしまったようだ。