聖女のいない国に、祝福は訪れない
先代聖女の追悼式
「みんなと一緒に、行動しなくていいの……?」
「ピュール!」

 フリジアは頭の上がすっかり定位置になったハミングバードに話しかけたが、何度促しても仲間の元へ帰る気配がない。

「いつでも、飛び立ちたい時に……外へ出てもいいですからね……」

 彼女は窓をつねに少しだけ開け、渋々ともに生活すると決めたのだが……。

「ピィ……。ピィ……」

 ハミングバードは仲間の元へ戻る気配がまったく無く、夜はベッドに横たわるフリジアの頭の上で器用に眠っていた。

(潰してしまいそうで、不安しかない……)

 彼女は案外、寝相が悪い。

 眠るハミングバードを下敷きにしてか弱き命を奪ってしまったらどうしようかと、気が気ではない日々を過ごすこと二日目――。

「リエルル公爵令嬢」

 フリジアの誕生日を数時間後に控えた夜。
 彼女を寝かしつけるために、セドリックが顔を出す。
 彼は急遽早まった動物達の受け入れや先代聖女の命日を偲ぶ式典準備に奔走され、忙しい毎日を送っていた。
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