聖女のいない国に、祝福は訪れない
(先代聖女をどう思うかで、贈る色が異なったのか……)
他人の印象を優先するべきか、先代聖女自身の好きな色を供えるべきか。
彼に詳しい話を耳にしたフリジアは、再び迷い始めていた。
「母が好きな花はフリージアと告げたら、全員別の色を持ってきたそうだ。だから、君も母上をどう思うかで決めるといい」
そんな彼女を見かねて、セドリックは優しい言葉をかけてくれる。
だが、フリジアは先代聖女と顔を合わせたことがなかった。
すべて人伝で、その内容も漠然としない。
話す人によって、印象が異なるのだ。
(まるでカメレオンのよう……)
どうせ思い悩むのであれば、セドリックに詳しい話を聞くべきではなかったのかもしれない。
「疑問は解消されたか」
「はい……」
「ならいい」
フリジアはそう後悔しながらも、これ以上彼から先代聖女の思い出話を耳にした所で困惑するだけだと考え――明日はどんな色のフリージアを贈ろうかと頭を悩ませる。
他人の印象を優先するべきか、先代聖女自身の好きな色を供えるべきか。
彼に詳しい話を耳にしたフリジアは、再び迷い始めていた。
「母が好きな花はフリージアと告げたら、全員別の色を持ってきたそうだ。だから、君も母上をどう思うかで決めるといい」
そんな彼女を見かねて、セドリックは優しい言葉をかけてくれる。
だが、フリジアは先代聖女と顔を合わせたことがなかった。
すべて人伝で、その内容も漠然としない。
話す人によって、印象が異なるのだ。
(まるでカメレオンのよう……)
どうせ思い悩むのであれば、セドリックに詳しい話を聞くべきではなかったのかもしれない。
「疑問は解消されたか」
「はい……」
「ならいい」
フリジアはそう後悔しながらも、これ以上彼から先代聖女の思い出話を耳にした所で困惑するだけだと考え――明日はどんな色のフリージアを贈ろうかと頭を悩ませる。