美貌の公爵令嬢フェリシアは騎士様が好き
「殿下、フェリシア様の馬車が襲われました。」
「なんだって!?」
そう言って立ち上がったのはマリウスではなくアランだった。
「フェリシア様はご無事なのですか!?」
「え、えぇ……あ、アラン様?」
アランはものすごい勢いでサーシャに詰め寄った。
「アラン、落ち着いて。フェリシアは無事だよ。サーシャが心配してるのは馬車の方なんだ。」
「え?……馬車?……あ、すみません。」
アランは我に返って、サーシャに頭を下げた。
「アラン様、ご安心ください。フェリシア様は無事に屋敷へお送りしております。馬車が破損したのは今週に入って5台目でして……急ぎ殿下にご報告をと思い慌ててしまいました。申し訳ございません。」
「そ、そんなことがあるのですか!?5台……!?」
「フェリシアの馬車が襲われるのは日常茶飯事なんだ。フェリシアが馬車に乗る時は厳重に警護してる。でも帰りの馬車は護衛が少ないからよく破壊されちゃうんだよね。」
フェリシアが無事なのは良かったが、馬車が襲われるのが日常茶飯事とは知らなかった。そんなにフェリシアの日常は危険なのか。アランの顔は険しくなった。
「殿下、そのような状況ならば、護衛は私ではなく、もっと腕の立つ者にした方がいいのではありませんか?」
危険と隣り合わせの生活をしているのなら、しっかり訓練をした人が護衛をするべきだろう。入隊したばかりの自分では心許ない。
「馬車の警護だけならそうなんだけど、専属の護衛となると難しいんだ。一緒にいる時間が長いから、フェリシアが受け入れないと続かないんだよね。」
「……自分もフェリシア様に受け入れていただけるかわかりません。」
「それは心配ない。大会の優勝者を護衛につけることは承諾済だし、フェリシアは君のことが好きだから。」
「え?」
「だから大丈夫。それで、どうする?君の賞品は。」
マリウスに聞かれてアランは再び考えた。第1部隊は魅力的だ。しかしあのものすごーく強い第2部隊長に勝てたのは、直前にフェリシアが応援してくれたからだ。決勝の前にフェリシアは自分だけを応援してくれた。だから勝てたのだ。
それに、考えてみれば決勝まで進めたのもフェリシアがいたからだ。1戦目に勝利した後、2戦目が行われる場所に移動したら、フェリシアのいる貴賓席に近づいた。3戦目はもっと近くに行ける。勝ち上がればフェリシアをもっと近くで見られるのだと思ったら、どんどん勝ち上がってしまった。
大会で優勝できたのはフェリシアのおかげだ。それに、フェリシアの護衛ならば毎日フェリシアに会える。悪いことは何も無い。むしろ良いことばかりだ。騎士団にいれば第1部隊への移籍は挑戦する機会が来るはずだ。しかしフェリシアの護衛はこれを逃したら、一生できないかもしれない。
「殿下、フェリシア様の護衛をさせてください。お力になれるかわかりませんが、一生懸命務めさせていただきます!」
「ありがとう。フェリシアも喜ぶよ。」
マリウスはアランを見て微笑んだ。あとはフェリシアの本当の姿を見て、アランが幻滅しないことを祈るのみだ。
「では、アラン様。明朝できるだけ早めにこちらへいらしてください。準備がございます。」
「わかりました。」
アランはマリウスに敬礼をして執務室を後にした。フェリシアの護衛だなんてこんな名誉なことはない。アランは喜びを噛み締めた。
「なんだって!?」
そう言って立ち上がったのはマリウスではなくアランだった。
「フェリシア様はご無事なのですか!?」
「え、えぇ……あ、アラン様?」
アランはものすごい勢いでサーシャに詰め寄った。
「アラン、落ち着いて。フェリシアは無事だよ。サーシャが心配してるのは馬車の方なんだ。」
「え?……馬車?……あ、すみません。」
アランは我に返って、サーシャに頭を下げた。
「アラン様、ご安心ください。フェリシア様は無事に屋敷へお送りしております。馬車が破損したのは今週に入って5台目でして……急ぎ殿下にご報告をと思い慌ててしまいました。申し訳ございません。」
「そ、そんなことがあるのですか!?5台……!?」
「フェリシアの馬車が襲われるのは日常茶飯事なんだ。フェリシアが馬車に乗る時は厳重に警護してる。でも帰りの馬車は護衛が少ないからよく破壊されちゃうんだよね。」
フェリシアが無事なのは良かったが、馬車が襲われるのが日常茶飯事とは知らなかった。そんなにフェリシアの日常は危険なのか。アランの顔は険しくなった。
「殿下、そのような状況ならば、護衛は私ではなく、もっと腕の立つ者にした方がいいのではありませんか?」
危険と隣り合わせの生活をしているのなら、しっかり訓練をした人が護衛をするべきだろう。入隊したばかりの自分では心許ない。
「馬車の警護だけならそうなんだけど、専属の護衛となると難しいんだ。一緒にいる時間が長いから、フェリシアが受け入れないと続かないんだよね。」
「……自分もフェリシア様に受け入れていただけるかわかりません。」
「それは心配ない。大会の優勝者を護衛につけることは承諾済だし、フェリシアは君のことが好きだから。」
「え?」
「だから大丈夫。それで、どうする?君の賞品は。」
マリウスに聞かれてアランは再び考えた。第1部隊は魅力的だ。しかしあのものすごーく強い第2部隊長に勝てたのは、直前にフェリシアが応援してくれたからだ。決勝の前にフェリシアは自分だけを応援してくれた。だから勝てたのだ。
それに、考えてみれば決勝まで進めたのもフェリシアがいたからだ。1戦目に勝利した後、2戦目が行われる場所に移動したら、フェリシアのいる貴賓席に近づいた。3戦目はもっと近くに行ける。勝ち上がればフェリシアをもっと近くで見られるのだと思ったら、どんどん勝ち上がってしまった。
大会で優勝できたのはフェリシアのおかげだ。それに、フェリシアの護衛ならば毎日フェリシアに会える。悪いことは何も無い。むしろ良いことばかりだ。騎士団にいれば第1部隊への移籍は挑戦する機会が来るはずだ。しかしフェリシアの護衛はこれを逃したら、一生できないかもしれない。
「殿下、フェリシア様の護衛をさせてください。お力になれるかわかりませんが、一生懸命務めさせていただきます!」
「ありがとう。フェリシアも喜ぶよ。」
マリウスはアランを見て微笑んだ。あとはフェリシアの本当の姿を見て、アランが幻滅しないことを祈るのみだ。
「では、アラン様。明朝できるだけ早めにこちらへいらしてください。準備がございます。」
「わかりました。」
アランはマリウスに敬礼をして執務室を後にした。フェリシアの護衛だなんてこんな名誉なことはない。アランは喜びを噛み締めた。