美貌の公爵令嬢フェリシアは騎士様が好き
「早かったね、フェリシア。」
「……」
「フェリシア、大会で優勝したアランだよ。今日から君の護衛をしてもらう。挨拶をして。」
「……」
フェリシアは扇で顔を隠したまま何も話さず、微動だにしない。
「フェリシア、アランには第1部隊への移籍のことも伝えたよ。けど、君の護衛を選ぶと言ってくれたんだ。ちゃんと顔を見て挨拶しないといけないよ。」
「……無理です……お兄様……」
アランは目を見開いた。フェリシアは自分を拒絶している。考えてみれば大会の優勝者だからって、見ず知らずの新人騎士が護衛だなんて嫌に決まってる。フェリシアは第2部隊長のような実力も肩書きもお墨付きの騎士が護衛することを望んでいたに違いない。
「殿下、フェリシア様が嫌なら自分は降ります。ですから……」
「待って、アラン。」
マリウスはため息をついた。フェリシアがいつまでも顔を見せずに挨拶をしないからアランは勘違いをしてしまっている。マリウスはフェリシアを叱るように言った。
「フェリシア、君がそんなだからアランは護衛を降りるって言ってるよ。いいの?」
「それは困りますっ!」
扇を取ったフェリシアはまともにアランと目が合ってしまいマリウスに飛びついた。
「キャー!無理です!無理ですお兄様!あぁ素敵!素敵すぎるわ!もう無理!どうしてこんなに近くにいらっしゃるの!?」
「フェリシア、それじゃアランを困らせてしまうよ。」
「だってだってカッコ良すぎますわ!どうしてお兄様はそんなに普通なの!?こんなに素敵なのに!あぁもう息ができません!」
「フェリシア、わかったからもう離れてくれる?」
アランはフェリシアとマリウスのやり取りを聞いて顔が赤くなった。信じられないがフェリシアが素敵だのカッコいいだの言っているのは、自分のことなのかもしれないと思うと心臓がドキドキしてくる。
「アラン、わかってくれた?フェリシアは君のことが好きなんだ。剣の腕だけじゃない。顔も体もぜーんぶ好きなんだって!」
「お兄様ひどい!言わないでって言ったのに!どうして言ってしまうの!?」
「ははは。」
アランは目を泳がせた。剣を褒められることはあったが、顔だの体だの言われるのは始めてだ。体も好きってどういうことなのだろうか。アランは呼吸が苦しくなってきて、必死に息を吸い込んで吐き出してを繰り返した。
「マリー、助けてくれる?」
「かしこまりました。」
キャーキャー騒ぐフェリシアの隣で冷静に控えていたメイドのマリーが、マリウスから強引にフェリシアを引き剥がした。
「フェリシア、ちゃんと挨拶して。今日から君の護衛をしてくれるんだから。」
フェリシアはもじもじして俯いたまま中々話そうとしない。大会で見たフェリシアは堂々として美しかったが、今のフェリシアはとても可愛らしい。
「ふっ……可愛いですね。」
アランの呟きが執務室に響いてアランは慌てて口を押さえた。フェリシアは公爵令嬢だ。褒められて舞い上がっていたとはいえ、あまりにも失礼な発言をしてしまった。
「申し訳ございません!」
「いいよ、アラン。そういうことはもっと言ってあげて。」
焦るアランをよそにマリウスはとても楽しそうに笑っている。
「……」
「フェリシア、大会で優勝したアランだよ。今日から君の護衛をしてもらう。挨拶をして。」
「……」
フェリシアは扇で顔を隠したまま何も話さず、微動だにしない。
「フェリシア、アランには第1部隊への移籍のことも伝えたよ。けど、君の護衛を選ぶと言ってくれたんだ。ちゃんと顔を見て挨拶しないといけないよ。」
「……無理です……お兄様……」
アランは目を見開いた。フェリシアは自分を拒絶している。考えてみれば大会の優勝者だからって、見ず知らずの新人騎士が護衛だなんて嫌に決まってる。フェリシアは第2部隊長のような実力も肩書きもお墨付きの騎士が護衛することを望んでいたに違いない。
「殿下、フェリシア様が嫌なら自分は降ります。ですから……」
「待って、アラン。」
マリウスはため息をついた。フェリシアがいつまでも顔を見せずに挨拶をしないからアランは勘違いをしてしまっている。マリウスはフェリシアを叱るように言った。
「フェリシア、君がそんなだからアランは護衛を降りるって言ってるよ。いいの?」
「それは困りますっ!」
扇を取ったフェリシアはまともにアランと目が合ってしまいマリウスに飛びついた。
「キャー!無理です!無理ですお兄様!あぁ素敵!素敵すぎるわ!もう無理!どうしてこんなに近くにいらっしゃるの!?」
「フェリシア、それじゃアランを困らせてしまうよ。」
「だってだってカッコ良すぎますわ!どうしてお兄様はそんなに普通なの!?こんなに素敵なのに!あぁもう息ができません!」
「フェリシア、わかったからもう離れてくれる?」
アランはフェリシアとマリウスのやり取りを聞いて顔が赤くなった。信じられないがフェリシアが素敵だのカッコいいだの言っているのは、自分のことなのかもしれないと思うと心臓がドキドキしてくる。
「アラン、わかってくれた?フェリシアは君のことが好きなんだ。剣の腕だけじゃない。顔も体もぜーんぶ好きなんだって!」
「お兄様ひどい!言わないでって言ったのに!どうして言ってしまうの!?」
「ははは。」
アランは目を泳がせた。剣を褒められることはあったが、顔だの体だの言われるのは始めてだ。体も好きってどういうことなのだろうか。アランは呼吸が苦しくなってきて、必死に息を吸い込んで吐き出してを繰り返した。
「マリー、助けてくれる?」
「かしこまりました。」
キャーキャー騒ぐフェリシアの隣で冷静に控えていたメイドのマリーが、マリウスから強引にフェリシアを引き剥がした。
「フェリシア、ちゃんと挨拶して。今日から君の護衛をしてくれるんだから。」
フェリシアはもじもじして俯いたまま中々話そうとしない。大会で見たフェリシアは堂々として美しかったが、今のフェリシアはとても可愛らしい。
「ふっ……可愛いですね。」
アランの呟きが執務室に響いてアランは慌てて口を押さえた。フェリシアは公爵令嬢だ。褒められて舞い上がっていたとはいえ、あまりにも失礼な発言をしてしまった。
「申し訳ございません!」
「いいよ、アラン。そういうことはもっと言ってあげて。」
焦るアランをよそにマリウスはとても楽しそうに笑っている。