美貌の公爵令嬢フェリシアは騎士様が好き

フェリシアの日常

 マリーとオルタンスがテーブルの上に食事を並べていく間も、フェリシアはアランの右腕に抱き着いたままだった。

「アラン様、いただきましょう?」
「はい……」

 アランの右腕はフェリシアに占領されている。このままどうやって食事をして良いのかわからない。

「アラン様には私が食べさせてあげますからね。」
「え!?」

 心臓が飛び出しそうだ。これはどう考えても護衛の仕事ではない。

「フェリシア様、自分で食べられますから……」
「お嫌なのですか?」
「嫌……というか、これは護衛の仕事ではないような……」
「私がしたいのです。良いですよね?はい、あーん♡」

 アランはフェリシアにグイグイ迫られて無理やり食べさせられた。ものすごく幸せだし、ものすごく美味しい。

「ふふ、美味しいです、フェリシア様。」
「ではアラン様もしてください。」
「え?」
「食べさせてくださいませ。」
「フェリシア様に!?」
「はい。嫌なのですか?」
「嫌……ではありませんが……」
「じゃ、早くしてください。」
「はい……」

 これはものすごく至近距離でフェリシアを見なければいけない。フェリシアの全てが直に自分に向かってくる。アランは目を細めてフェリシアの口にスプーンを運んだ。

「アラン様に食べさせてもらえるお料理は格別ですわ。ではもう一度。」
「へ!?」

 そうして何度も食べさせ合うことを繰り返して、ようやく食事を終えた。アランは息も絶え絶えだった。

「アラン様、どうしましたの?」
「いえ、すごく……美味しかったです……」
「ふふふ。良かったですわ。これから毎日一緒に食事をしましょうね♡」

 フェリシアの美しさも可愛さも色気も妖艶さも何から何まで正面から受け止めなければいけない。でもすごく嬉しい。毎日こうしてフェリシアと食事できるなんて考えるだけで胸が高鳴ってしまう。問題は息ができるのかということだけだ。
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