美貌の公爵令嬢フェリシアは騎士様が好き
「アラン様、ずっと一緒にいてください。アラン様はもう護衛ではありません。私の婚約者です!」

 フェリシアはアランの手を取って勝手に指輪をはめた。

「フェリシア様、あ……あの、それはあまりにも急すぎませんか!?」
「だって今、言ってくださったではありませんか。ずっとそばにいるって!」
「言いましたけど……」
「それに、好きだって言ってくれたじゃないですか。」
「それも言いましたけど!」
「でしたら、良いではありませんか。私とずーっと一緒にいてくださいませ!」

 アランは項垂れた。フェリシアは不思議そうにアランを見つめている。

「結婚はお嫌ですの?」
「違います!俺が……俺が言いたかった!結婚してくださいって、俺が言いたかったです!」
「きゃぁぁ!アラン様ぁぁぁ……っ!」

 フェリシアはアランに抱きついた。アランは押し倒されないように全身に力を込めた。フェリシアの母の前でベッドに押し倒されるわけにはいかない。

「アラン様になら何度言われたって良いわ!今からでもお聞きします!」

 アランはフェリシアを体から離すと、大きく息を吸って吐き出した。

「フェリシア様、私はあなたのことが好きです。結婚してください!」
「はい!喜んでお受け致します!アラン様大好きぃぃぃ!」

 アランは再び全身に力を込めた。フェリシアは抱きつくだけでは事足りずキスしようと迫ってくる。ソフィアの前で失態は許されないとアランは必死でかわした。

「フェリシア……良かったわね……」

 ソフィアはアランに迫るフェリシアと、迫られてタジタジになるアランを見つめて静かに涙を流した。
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