美貌の公爵令嬢フェリシアは騎士様が好き
「サーシャ、叔父上の許可が取れた。今年の賞品は『フェリシアの護衛権』だ。」
「これは面白くなりそうですね。」

 今までの賞品は、賞金か第1部隊への移籍だった。第1部隊は騎士団で最も優秀な部隊とされ、騎士たちは第1部隊への移籍を目指して日々稽古に励んでいる。魅力的な賞品ではあるが、最近の優勝者は現役の隊長ばかりで、隊長に勝てるわけがないという雰囲気があった。大会を盛り上げるためには、格上の相手に勝ってでも欲しいと思える褒美が必要なのだ。

 フェリシアは騎士に人気があり、ファンも多い。フェリシアが見学に来るだけで稽古がままならない人たちの集まりなのだ。そんなフェリシアの護衛となれば、可能性がゼロではないと考えた騎士たちがこぞって参加するだろう。

「たくさん参加してくれるといいな。最近は参加者が少なくなっていたからね。」
「多分、殺到しますよ。」

 数日後、大会への参加申し込みが始まると、執務室は慌ただしくなった。

「殿下、本日の申込者です。すごいですね。さすがフェリシア様というか。」
「今年は盛り上がりそうだね。」

 マリウスの思惑通り、大会に参加したいと応募してきた騎士の数は前年の倍以上だ。この中にフェリシアのタイプに当てはまる騎士がいるはずだ。マリウスは参加を申し込んだ騎士の書類にすべて目を通した。
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