【完結】アシュリンと魔法の絵本
 リーリクルの人々は活気(かっき)があり、「これ見ていかないかい?」や、「迷子? あ、ちがう? じゃあ、リーリクルを楽しんでね!」とすれちがう人たちに声をかけられることも多い。

「……なんというか、いつもこうなの?」
「まぁね。良い人たちだよー」

 ラルフの問いに、アシュリンは軽く肩をすくめて答えた。

 リーリクルの人たちは観光客にやさしい。(みずうみ)を見にきた人たちに対して、おすすめのスポットを教え合うくらいにはフレンドリーでもある。

「基本的には……」
「なんで付け足したのっ?」

 ぎょっとしたように目を見開くラルフを見て、アシュリンはぽかんと口を開けた。

「あ、アシュリン?」
「ラルフってそんな顔もできたんだね! なんだか、どんどん感情が出てきているんじゃない?」

 ばっとラルフに近付いて、じっくりとその表情を見ているアシュリンに、彼は「近い近い近いっ」と彼女から数歩離れようとした。後退(あとずさ)ったラルフは、トンっと誰かにぶつかってしまい、「わっ」と声を上げる。

「おっと、大丈夫かい?」

 転びそうになったラルフを支えたのは、白髪の老人――……

「おじいちゃん!」
「おや、アシュリン。久しぶりだねぇ」

 ふさふさの白いひげがよく似合う、アシュリンのおじいちゃんだった。
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