【完結】アシュリンと魔法の絵本

アシュリンとリーリクル。 4話

 アシュリンが考え込んでいるあいだに、ロッティはフレッシュブーケガルニを用意する。

 セロリの(くき)、パセリの(じく)、ベイリーフなどをまとめて、大きな鍋を取り出した。

 鍋の大きさに気付いたアシュリンがぽかんと口を開ける。

「おっきい!」
「大量に作るからねぇ」

 いつの間にかロッティはニンジンと玉ねぎもむいていた。アシュリンの前にすっとまな板とニンジンを置き、切るようにうながした。

「がんばる!」

 アシュリンはロッティに教わりながら、ニンジンを切る。その姿を見つめながら、娘――ホイットニーに教えたときを思い出し、彼女は笑みを深くする。

(食事が出来上がるまでには帰ってくるだろうけれど……ラルフくん、あの人と一緒で大丈夫かしら?)

 自身の夫であるメイソンは、そこそこ強引なところがあるので少し心配でもあった。

 だが、一緒にいることでラルフの緊張が解けたらよいと考え、ロッティはアシュリンとの料理の時間を大切にしようと、慣れない包丁に苦戦している孫娘を見守っている。
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