【完結】アシュリンと魔法の絵本
(――家族で遊ぶって、こんな感じなのかな)
ラルフはぼんやりとそう考えて、頭を左右に振った。その姿を見たアシュリンが「どうしたの?」と声をかけると、彼はびっくりしたように目を丸くする。
「ええと、家族だんらんに邪魔だったかなって」
「子どもがなにを言っているんだか。ほらほら、子ども時代を楽しまないのは損だぞ!」
メイソンが明るく笑って、オールを勢いよく動かす。ボートはさっきよりもスピードを増し、ラルフは「わっ」と短い悲鳴を上げた。
「あなたったら。でもね、ラルフくん。邪魔なんて思わないわ。アシュリンが旅をしていることは知っていたけれど、女の子の一人旅になるんじゃないかってちょっと心配だったの。ラルフくんと出会って二人旅になったこと、嬉しく思っているのよ」
自分の胸元に手を置いて微笑むロッティに、ラルフは「逆に、不安になったのでは?」とたずねる。
アシュリンはラルフの質問に「なんで?」と目を大きく見開いた。
「初めて会った人同士で旅をする、なんて……」
「うーん。でも、なにもなかったでしょう?」
「ありませんでしたけど」
それだけはきっぱりと言える。
出会う人々もやさしかった。それはきっと、アシュリンの素直さと無邪気さに彼女と接する人たちが毒気を抜かれているからだろうと、ラルフは考えていた。
「なら、いいじゃない。旅は道連れ世は情け、ってよく言うもの」
ラルフはぼんやりとそう考えて、頭を左右に振った。その姿を見たアシュリンが「どうしたの?」と声をかけると、彼はびっくりしたように目を丸くする。
「ええと、家族だんらんに邪魔だったかなって」
「子どもがなにを言っているんだか。ほらほら、子ども時代を楽しまないのは損だぞ!」
メイソンが明るく笑って、オールを勢いよく動かす。ボートはさっきよりもスピードを増し、ラルフは「わっ」と短い悲鳴を上げた。
「あなたったら。でもね、ラルフくん。邪魔なんて思わないわ。アシュリンが旅をしていることは知っていたけれど、女の子の一人旅になるんじゃないかってちょっと心配だったの。ラルフくんと出会って二人旅になったこと、嬉しく思っているのよ」
自分の胸元に手を置いて微笑むロッティに、ラルフは「逆に、不安になったのでは?」とたずねる。
アシュリンはラルフの質問に「なんで?」と目を大きく見開いた。
「初めて会った人同士で旅をする、なんて……」
「うーん。でも、なにもなかったでしょう?」
「ありませんでしたけど」
それだけはきっぱりと言える。
出会う人々もやさしかった。それはきっと、アシュリンの素直さと無邪気さに彼女と接する人たちが毒気を抜かれているからだろうと、ラルフは考えていた。
「なら、いいじゃない。旅は道連れ世は情け、ってよく言うもの」