【完結】アシュリンと魔法の絵本

アシュリンとリーリクル。 6話

「そんなもの……ですか?」

 ロッティはゆっくりとうなずいた。二人の会話にアシュリンは「?」とラルフを見つめる。

「一生のうちに出会える人たちって、限られているからね」

 メイソンがぽつりと言葉をつぶやく。その言葉を拾い、アシュリンは彼に視線を移した。

「世界中の人とお友だちになるには?」

「それはもう、旅を続けていくしかないだろうねぇ」

 この世界――エルピスにいるたくさんの種族たち。

 アシュリンは精霊族のタルコットしか知らないが、もっとたくさんの種族がいることは両親から聞いている。

「そっかぁ。じゃあ、わたしの旅はまだまだ終わらないね!」
「アシュリンは旅、好きかい?」
「うんっ!」

 満面の笑みを浮かべて首を大きく動かすアシュリン。ラルフはまぶしそうに目元を細めて彼女を見た。

「ラルフくんは?」

「えっ、えーっと……。一度、神殿都市に帰って、家の様子を見てみます。なにも変わりなかったら、また旅に出ようかと」
「えっ、神殿都市に? じゃあわたしも一緒に行っていい?」

 アシュリンの申し出に、ラルフは「えっ?」と目を丸くした。メイソンとロッティも彼女の言葉に驚いたのか、一瞬息を()んだがすぐにロッティがやさしく微笑む。
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